大活躍中の鈴木千代選手にインタビューした   presented by JVA BEACH

   中学生で才能を見いだされ、高校生ですでに国内ツアーを回っていた鈴木千代。アンダーの代表として海外で戦い、ツアーで居場所を得ていながら、なかなか頂点には立てない歳月が続いた。しかし昨シーズンは海外国内ともに初優勝。アジリティを前面に出したバレースタイルで、これまでの日々を一気に巻き返した1年だった。

記者:昨シーズンは村上礼華選手と組んでワールドツアーを中心にプレー、優勝を含め表彰台に上がること2度。手応えのあったシーズンだったのではないでしょうか?

鈴木:180センチ台のペアを相手に171センチの私が勝つため、テンポの速いバレースタイルを3年ぐらい追求してきましたが、それをやっと世界の舞台で試すことができました。私たちのスタイルが通用するとは思っていましたが、実際に戦ってみてやっぱりイケると実感できました。
ワールドツアーを回り始めた昨年2月あたりは、出場できるだけで嬉しかったのですが、1スターから始まり、2、3スター、最後は4スターのアメリカ・ラスベガスの本戦でプレーできて、いつの間にか最初の喜びを忘れてしまったところもあります(笑)。私自身が思っているより早く、勝手にステージが上がっていってしまい、怒濤の1年でした。

記者:6月にはFIVBワールドツアー・シンガポール(2スター)で初優勝を果たしました。

鈴木:勝った瞬間は嬉しいというより、自分がやってきたことが間違っていなかったという気持ちの方が強かったです。コーチをはじめ支えてくれる人たちや会社にも、優勝できる選手ですと証明できたことが良かったです。
大会はなぜかすんなり勝ち進んでいきました。決勝で対戦した草野・西堀ペアとは予選プール戦でも当たって負けていました。でも気負わず、プレッシャーもあまり感じていませんでした。ここまできたら楽しんで帰ろうと(村上)礼華と話していましたし、アップも男子の高いネットでやったりして、気持ちに余裕を持てたことが良かったのではと思います。
シーズンを通しても、テンポの速いバレースタイルで大きな相手もバテさせることができるようになりました。サーブもシンプルに前後に揺さぶり、疲れさせて相手をつぶせると、こちらは体力を温存できて連戦でも疲労は少なくて済みます。シンガポールでもそうでしたが、決勝に余力を残して、一番良い状態で迎えられるようなマネジメント、バレースタイルができるようになりました。それは試合数も少なく大会日程が短い国内大会では、なかなか学べないことだと感じました。

記者:国内でも7月の第6戦大洗大会で優勝。トップツアーとしてはこちらも初優勝となりました。

鈴木:私も礼華も初めての優勝でしたが、昨シーズンの目標は国内というよりワールドツアーに目が向いていました。それに、すでにワールドツアーを回っていただけに、勝ったことにも当然といった感じになって喜ぶ気持ちを忘れていました(笑)。振り返ると、優勝しても、少しでも悪いプレーがあるとイライラしてこれぐらいできて当たり前と思ってしまっていたので、それは良くなかったのかなと。上を見ることは悪くはないのですが。

記者:もともと感情を表に出さないタイプですが、昨シーズンはプレーに落ち着きが増して、それも結果を残している要因かと感じましたが、いかがですしょうか?

鈴木:劣勢の時に冷静でいられなくても、それを相手に悟られないようにしています。実際にはイライラして不安ですが(笑)。プレーコールも焦って言うとチームメイトは聞き取り難くなりますし、焦りも伝わります。だから落ち着いて言うようにしています。できているかは分かりませんが、余裕を持てるようになりたいと思いながらプレーはしています。昔のビデオを見返すと、恥ずかしくなるぐらい焦ってプレーしているのが分かりますね。

記者:年齢的には4歳下の村上選手とのペアで、チームを引っ張っていく立場でしたか?

鈴木:先輩後輩の関係ではなくパートナーなので、コート内では同じ目線でいたいというのはあります。でも最初、礼華はなかなか話しませんでした。もっと責任感を意識して欲しかったので作戦を任せたりしていました。すると後半になってプレーの指示をしたり積極的になってきました。それもワールドツアーを回るようになったことが影響していると思います。海外の選手は年齢関係なく言いたいことを言い合っています。自分の意見を対等な立場で言うことで、色々なアイディアが生まれるんだと感じました。

記者:今年に入り日本代表にも初めて選ばれました。目標のひとつだったと思いますが。

鈴木:アンダーカテゴリーではあったのですが、代表に選ばれたのは初めてでした。去年の成績が認められたという意味では、過程のひとつとして良かったと思っています。会社をはじめサポートしてくれている人たちも喜んでくれています。でもそこがゴールではないですし、これから自覚と責任を持って頑張らないといけないと思います。
これまで、頑張っているのになぜ代表に選んでくれないのだろうと思ったこともありました。今年はこれだけやったのだから選んでもらえるとは確信していました。でも逆に考えると、今まで選んでもらえるだけのことをできていなかった、人を納得させられるだけの実力がなかったんだと気付きました。

記者:今シーズンは坂口由里香選手と組むことになりました。

鈴木:(坂口)由里香はもともとバレーは上手いですし、身長はありませんが伸びしろは大いにあると思います。飲み込みも早いし考えもしっかりしていますから、対等な立場でコートでプレーできると考えています。今年もワールドツアーが中心になりますが、昨年よりさらに小さなペアになります。それでも海外で勝てるというのをこのチームで証明できたらと思っています。
私がブロッカーをやることになります、これまで経験はありませんが(笑)。でもやったことがない不安よりも、やったことがない楽しみの方が大きいですね。ブロックの練習を必死にしていますが、初めてブロッカーの大変さを知りました(笑)。ブロッカーの動きでボールが上がるかどうかが決まってくるので、とても大事なんだと今更ながら気付きました。その重要なポジションを自分がやりたいと思っています。レシーバーとしてずっとやってきてレシーブも好きですが、ブロッカーへの挑戦は苦労とは思いませんし、とても楽しいですね。

記者:これから海外で勝っていくために必要なことは何でしょうか?

鈴木:結果ではなく何にトライしたのか、世界で勝つためにいつでもレベルの高いプレーをすることなどをコーチからは言われています。まだまだプレーで縮こまってしまったり、自分たちのできることだけをやり続けてしまう面があります。まだチームを組んだばかりですが、それでは進歩がないと思います。

記者:来年は東京五輪もありますが、この先を見据えてどこに目標をおいていますか?

鈴木:オリンピックは日本で1チームは出られるチャンスがあるので、そのチャンスはつかみにいきたいと思います。2人でその目標のベクトルは合わせていますので、いくらでも頑張れます。私は由里香にあと1年半あまりの人生を預けますし、由里香も私に預けています。お互い人生のプラスになるようにしたいです。
ただ、オリンピックだけに固執したくはありません。会社の社長からも、オリンピックに出て欲しいけど、それまでの過程が大事だよと言ってもらっています。だから目標に向かって努力することは当たり前ですが、結果ではなく悔いなくやって良かったと思えるようにしたいですね。