DXの『D』その主な手法

DXの『D』その主な手法

とりわけ中規模以下の企業では、事業環境や企業体力などの実情にあわせて現実的にDXを始めることが成功のポイント。そのためにはまず複数サービスを連携させることがおすすめと説明してきました。
ここでは複数サービスを連携させるメリットについて、他の手法と比べながらみていきましょう。

実現のための手法

DXは「X(トランスフォーメーション)」がポイントと説明してきましたが、もちろんDX実現にはD(デジタル)も重要です。そしてDX推進におけるデジタル技術の活用手法はさまざまです。

代表的な手法の筆頭は「スクラッチ開発」です。これは業務内容の把握や整理をイチから改めて行い、新システムで実現する機能(仕様)を確定し、まっさらな状態からプログラム開発を行うやり方です。

もう1つが「パッケージソフトの導入」です。市販されているさまざまなパッケージソフトの中から、自社業務にマッチするものを選択し導入します。

そして最後が「複数サービスを連携させる」手法です。

他にも手法はありますが、代表的なものはこの3つ、またはこの3つの組合せに集約されると思います。

スクラッチ開発

スクラッチ開発は後述のパッケージソフトなどの提供機能にも縛られることなく、完全に自由にシステム開発によって欲しい機能を実現できることがメリットです。
一方、自由度が高いがゆえに隅から隅までキッチリと決めながらシステム開発をすすめる必要があるでしょう。

具体的にはまず業務内容の整理分析を行い、あるべき業務の姿を描くところから始まります。この段階が最も重要とも言えます。
十分すぎるほどの時間をかけて業務内容を見直し、この内容なら自社のDXが実現でき、本来目的である事業競争力も強化できるとの判断が下った後に、いよいよ新システム開発の機能要件をとりまとめ、プログラム開発に着手するわけです。

プログラム開発も単に開発すれば終わりではなく、新システムを本稼働させる前には入念なテストを繰返し行い、さらには現在使っているシステムから新システムへのデータ移行も行う必要があります。もちろん利用者教育も必要です。

すでにお気づきの通り、これは遠大な道のりです。
しかも使い勝手(ユーザーインターフェース)が良く練られていないと、せっかく年月を費やして開発したシステムも不評を買い、最悪の場合は使われなくなってしまう可能性もあります。

スクラッチ開発は予算や人的資源などの体力に自信があり、新システム導入による効果が投資を上回ると判断できる企業だけがとれる手法と思います。

パッケージソフト導入

スクラッチ開発に比べ、パッケージソフト導入の負荷は下がるはずです。なぜなら、ある程度のシステム機能はすでにひとかたまりの機能群(パッケージ)として提供されていて、利用検討する企業はさまざまなパッケージと自社業務の相性を中心に考えれば良いからです。

しかも、多くの場合はお試し利用をしたり、動作デモが見られたりするので、早い段階から利用者を巻き込んで使い勝手の確認もすすめやすく、導入後の教育や利用浸透のハードルも下がることが期待できます。

パッケージソフト導入では製品選定段階で自社業務とパッケージソフトの機能差をしっかり分析し、バッチリ合った機能を持つパッケージを、そのまま利用するのが最も理想的です。

しかしながら、国内企業の多くはなぜかパッケージソフトをそのまま利用せず、カスタマイズ開発を加えて、自社特有の業務を実装しようとします。

すると、導入当初は快適でも、市況や法令などが変わる都度、カスタマイズ開発部分の改修対応が必要となり、せっかくのパッケージ導入のメリットが薄れます。また、パッケージソフト本体の改版にカスタマイズ開発部分が対応できないなどの支障も出る可能性があります。自社業務をパッケージに合わせる決断も必要でしょう。

また、パッケージソフトはその機能が高機能であるほど、お値段もそれなりに上がるという事実も押さえる必要があります。

サービス連携

業務全体を、包括的かつ一度にガラっと変える手法としてはスクラッチ開発やパッケージソフト導入が有効です。しかしながら、これらは前記のとおりリスクも大きくなります。ハイリスクハイリターンは言い過ぎかもしれませんが、感覚的にはお分かりいただけると思います。

一方、当社がおすすめする複数サービスの連携によるDX推進は真逆の手法をとっています。都合が良いように聞こえますが、失敗を正しく恐れつつ、DX実現の実も得たいという欲張りな手法です。

これはすでに利用しているサービスを有効活用することを主眼としています。そのため予算や導入実現までの期間は、他の手法に比べると大幅に短縮でき、試行錯誤を繰り返しながら少しずつ確実に成功を目指すことができます。ユーザーインターフェースも大きく変わることはありません。

連携によって工数削減が図れ、業務スピードや正確性の向上のほか、特定システムに固定されていたデータの横断的な活用も期待できます。旧来業務に関わっていた社員が事業競争力強化に向けた活動に時間を費やせるようになるのもメリットです。

今回はDX実現のための主な手法をデジタル技術活用の面からみてきました。皆さんの会社に適したDXのすすめ方を見定めるヒントになればと思います。

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