DX成功のための予備知識① サービス組合わせの考え方 ~モノリシックとマイクロサービス~

DX成功のための予備知識① サービス組合わせの考え方   ~モノリシックとマイクロサービス~

DX成功のためにはサービスを組合わせ、業務改善をスモールスタートで着実に行いながら、成功体験を積み重ねることが当社のおすすめと説明してきました。
そこで今回は、ポイントとなる「サービス組合わせの考え方」について基本的な部分を説明していきます。

システムとサービス

ここで用語を整理しましょう。本コラムでは企業が自社資産として保有するソフトウェアを「システム」と呼びます。一方、企業が月額費用料を支払って利用するソフトウェアを「サービス」と呼びます。
ここで言うサービスは、サービス事業者側がソフトウェアを保有し、企業はSaaS(Software as a Service)として利用するものを前提とします。

サービス組合わせの2つの考え方

かつてIT活用といえば、自社が保有するソフトウェア資産の活用とほぼ同義でした。
この時代は「汎用機(メインフレーム)」「オフコン(オフィスコンピューター)」といった大型計算機を各企業が保有し、自社業務に特化したソフトウェアを開発し利用するのが一般的でした。

それが現在では、クラウド技術の急速な進歩とともに、月額費用を支払ってサービス利用することに抵抗感がなくなり、「保有から利用へ」大きく意識が変化しています。
保有が前提であった時代は大規模な初期投資によるシステム開発のほか、開発したシステムの維持管理にも毎年高額なIT投資が必要でした。ところがSaaS利用が当たり前となった現在では、少ない利用料で欲しい時に欲しい機能を選択することも可能になっています。

こうした変化を理解し、DX実現にあたって自社に適したアーキテクチャーを選択する上で、ぜひ覚えておきたい2つの用語があります。
それが「モノリシックアーキテクチャー」「マイクロサービスアーキテクチャー」です。「アーキテクチャー」を省略し、それぞれ「モノシリック」「マイクロサービス」と呼ぶ場合もあります。

モノリシックアーキテクチャーとは

「モノシリック」とは”一枚岩”という意味です。
かつて企業が保有していたシステムのように、必要とされる機能のほとんどを単一のソフトウェアで実現する考え方です。
モノリシックアーキテクチャーのメリットは、自社が求める機能要求をほぼ漏れなく実現・実装でき、システムのレスポンス(反応速度)が極めて速いことです。

現在、サービス(SaaS)利用が増えてきていますが、サービスとして提供されていない、自社特有の業務やリアルタイム処理が求められるシステムには、依然としてモノリシックアーキテクチャーが適しています。
一方、モノリシックアーキテクチャーは強固な一体感(一枚岩)の反面、その一体感を簡単に崩すことは難しく、変化への対応に必要な柔軟性に欠ける側面があります。また一般に、システム構築や維持管理にまとまったコストがかかる傾向もみられます。

そのため、変化への対応などの柔軟性が求められ、コストを抑えたい場合には、次のマイクロサービスアーキテクチャーの方が、適しているといわれます。ただしこの場合は、業務に汎用性があり、サービスとして提供されていて、リアルタイム処理までは必要としない業務であることが前提となります。

マイクロサービスアーキテクチャーとは

マイクロサービスアーキテクチャーは文字通り小さな単位のサービスで構成されます。
業務で必要とされるサービスを小さな単位で個別に選択し、それらを組合わせる(連携させる)ことによって必要とされる業務機能全体を実現しようという考え方です。

余談ですが、マイクロサービスアーキテクチャーは2014年に米国ThoughtWorks社のマーチン・ファウラー氏とジェームス・ルイス氏によって提唱されました。

マイクロサービスアーキテクチャーのメリットは、個々のサービスをゆるやかに組み合わせることができる(疎結合ともいう)ため、業務内容の変更や機能追加、データ量の増大などへの対応が柔軟に行えることです。

一方、デメリットはレスポンスと管理の煩雑さです。別々のサービスを組合わせるので、モノリシックアーキテクチャーと比べると、どうしてもサービス間の情報連携には時間がかかります。また、あまりにたくさんのサービスを利用すると、利用者権限や課金などの管理が煩雑になりがちです。ただし、世の中にはこうした課題を解決するサービスも存在します。

どちらを選択すべきか

クラウド技術が発展した結果、SaaS型で提供されるサービスも十分実用に耐えられる品質になりました。
このところ特に、世界情勢の変動、コロナ禍の影響といった予測が難しい不確定要素も増しており、企業には一層の柔軟性と、変化に対応するスピード、変化に素早く反応できる身軽さが求められています。そのためにはIT資産保有をできるだけ軽くしておくことも重要な選択肢になるでしょう。

保有から利用へ、さらには気軽に試して比較検討し、自社に合わなければ利用を見送り、一旦利用開始したものでも不要になればすぐに利用を中止する。このような流れを実現するためにはマイクロサービスアーキテクチャーが適しているといえます。

一方、前記のとおり、マイクロサービスアーキテクチャーでは実現が難しい独自業務や処理性能を求められる業務にはモノリシックアーキテクチャーが適しています。ただし、技術の進歩とともにマイクロサービスの欠点も補われつつあります。大きな流れとしては今後ますますマイクロサービスアーキテクチャーの採用比率が高まるといわれています。

自社が関わる市場環境や経済状況、技術トレンドなどを見極めて最適な選択ができれば、みなさんのDXも成功に大きく近づくことでしょう。

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