【パッケージ版 Garoonサポート終了 徹底解説⑤】よくある失敗と成功のヒント※事例あり

【パッケージ版 Garoonサポート終了 徹底解説⑤】よくある失敗と成功のヒント※事例あり
著者:小島真鈴
著者 小島真鈴
文系出身のkintoneエンジニア。
2020年新卒入社以来、業務理解力を武器に、顧客に寄り添ったシステムの提案と構築を行う。
kintoneカイゼンマネジメントエキスパートおよびSC-Garoon資格を保持し、「kintoneのことならなんでもおまかせ!」はもちろん、「Garoonのこともおまかせ!」な頼れる存在。
趣味はバスケ観戦で、最近は麻辣湯に夢中。

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第1回:サポート終了の概要と今後の選択肢
第2回:サポート終了後の継続利用に潜むリスクとは?
第3回:知っておきたい!クラウド版の特徴とメリット?
第4回:クラウド移行の費用とスケジュール
第5回:よくある失敗と成功のヒント ←閲覧中の記事

はじめに

「パッケージ版 Garoonのサポート終了 徹底解説」の第4回では、クラウド移行にかかる費用とスケジュールについて、モデルケースとあわせてご紹介しました。

モデルケースでは標準的な環境や構成でのクラウド移行を取り上げましたが、実際にはより複雑な環境下でパッケージ版 Garoonを利用されている企業も少なくありません。
こういった場合、移行の難易度は高くなる傾向があるようです。

弊社ではこれまで、大規模データの移行やLinux環境への対応など、一般的には難しいとされるクラウド移行にも取り組んできた実績があります。

今回は「パッケージ版 Garoonのサポート終了 徹底解説」の第5回として、実際のクラウド移行事例をもとに、よくある失敗と成功のヒントをご紹介します。
クラウド移行を依頼するベンダーを検討する際の参考情報として、ぜひご覧ください。

 

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事例で見るクラウド移行のリアル

事例で見るクラウド移行のリアル

ここでは、弊社が対応したクラウド移行事例をもとに、利用規模や構成によってどのような課題が発生しやすいのかをご紹介します。
事例を通じて、移行の難易度や注意点をイメージしていただければ幸いです。

事例①:複数製品の並行移行のケース(小規模利用・広告業) / G社様

G社様では、パッケージ版 Garoon 4を利用していましたが、社内のITリソースを最適化するため、クラウド版への移行を検討されました。
ユーザー数は約170名、データ量は100GB未満と比較的シンプルな構成でしたが、いくつかの課題がありました。

まず、パッケージ版 Garoonのクラウド移行と同時に、別製品のクラウド移行も計画しており、並行して進めるためのスケジュール調整や社員への周知が必要でした。
そのため、移行作業全体の時間を把握するためにリハーサルを実施し、その結果をもとに計画を策定しました。

さらに、既存環境をLinuxで構築していたことも課題の一つでした。Linux環境の取り扱いに知見のあるパートナー企業が少なかったため、ベンダー選定に時間を要したそうです。
弊社は、Windows環境はもちろん、Linux環境においても導入・バージョンアップ・移行の豊富な実績と知見がありますので、安心して任せられるとのことで移行作業をご依頼いただきました。

結果として、リハーサルで得た情報を活かし、複数製品の並行移行を計画通りに完了しました。スケジュール調整や周知も円滑に進み、全体としてスムーズな移行を実現できたと評価いただきました。

事例②:ネットワーク経由のデータコピー不可環境のケース(中規模利用・宿泊業) / F社様

F社様では業務の安定性と将来の拡張性を重視し、クラウドへの移行を進めることになりました。
ユーザー数は206名、データ量は469GBと比較的大きく、構成としても中規模以上の難易度がありました。さらに、いくつかの特有の課題がありました。

まず、パッケージ版 Garoonをインストールしているサーバーが外部ネットワークに接続できないという制約があり、ネットワーク経由でのデータコピーは不可能でした。
このため、データをSSDに物理的にコピーして移行する必要がありました。

また、移行作業による業務への影響を最小限にするため、夜間や休日に限定して作業を実施する必要がありました。
さらに、毎月第2日曜日にはサイボウズ社によるクラウド版 Garoonの定期メンテナンスが実施されるため、
そのスケジュールも考慮しながら計画を立てる必要があり、作業計画の精緻化が求められました。

弊社では、こうしたネットワークの制約や物理コピーを伴う移行にも対応してきた実績があります。
今回のクラウド移行に関しても、物理コピーでのクラウド移行手順を事前に作成し、計画を最適化することで、制約条件下でも安全かつ確実な移行を目指しました。

事例③:大規模移行によるサイボウズ作業依頼が必要なケース(大規模利用・情報通信業) / Y社様

Y社様では、パッケージ版 Garoonとkintoneを併用していましたが、運用負荷の軽減を目的にクラウド環境への統合プロジェクトを開始しました。
ユーザー数は160名、データ量は1,200GBと非常に大きく、プロジェクト期間は半年に及びました。こうした条件により、通常の移行方法では対応できない課題がありました。

当時の移行ツールでは500GBを超えるデータは移行ツール経由で移行できない制約があったため、サイボウズ社への作業依頼が必須でした(2025年12月現在、移行ツールの制約は変更されています)。
移行方法としては、まず既存環境を最新版のGaroonへバージョンアップしたうえで、SSDにデータをコピーし、その後サイボウズ社に送付して移行を実施するという流れとなりました。

また、Y社様では既にクラウド基盤「cybozu.com」を利用されていたため、既存のユーザーや組織情報にデータが上書きされることがないよう、細心の注意を払う必要がありました。
このため、事前に詳細な移行計画を策定し、サイボウズ社との連携を密に行うことで、リスクを回避しました。

さらに、クラウド移行と同時に弊社製品「CROSSLink SSO(クロスリンク シングルサインオン)」を導入しました。パッケージ版でもシングルサインオンを利用されていたため、クラウド版でも同様の利便性を維持することが重要な要件でした。これにより、クラウド移行と同時にログイン管理を一元化し、セキュリティ強化と業務効率化を両立しました。

事例からわかること

これらの事例からわかるのは、クラウド移行の難易度や課題は企業規模だけで決まるものではなく、運用方法やシステム構成によって大きく変わるということです。

そのため、クラウド移行を成功させるには、利用状況の確認と計画策定、そして実績とノウハウを持つベンダーの選定が重要となるでしょう。

よくある失敗!実際にあった落とし穴

よくある失敗!実際にあった落とし穴

クラウド移行は、計画通りに進まないケースも少なくありません。
ここでは、実際の現場で遭遇した4つの「落とし穴」をご紹介します。

落とし穴①:定期メンテナンス時間の落とし穴

クラウド版 Garoonにはサイボウズによる定期メンテナンス時間が設定されており、この時間帯は移行作業ができません。
また、リハーサルと本番移行を次のメンテナンスまでに完了させる必要があるため、スケジュールの調整は非常に重要といえるでしょう。

さらに、データ移行の日程はサイボウズの承認が必要となるため、任意のタイミングで実施できると考えて計画を進めると、計画実行段階で移行日の再調整が必要になることがあります。

落とし穴②:データ量の落とし穴

データ量が多い場合、移行ツールの制約に引っかかることがあります。
移行時間が長くなるだけでなく、事前のデータ整理にも時間を要する可能性があるでしょう。

特に1,000GBを超える場合は、サイボウズによるデータ移行作業が必要になるため、その作業分を考慮した移行計画を策定しておくことが望ましいといえます。

落とし穴③:業務停止時間の落とし穴

移行作業中はシステムを停止する必要があるため、業務停止時間が発生します。
作業を休日や夜間に設定するなど、業務影響を最小化するための調整が求められます。

停止時間を考慮せずに計画を進めると、業務に支障が出るほか、現場の混乱を招く可能性もあるでしょう。

落とし穴④:メール設定の落とし穴

Garoon移行時、設定内容によっては現行環境または移行先環境のどちらか一方でしかメールが受信されず、メールを確認することができないケースがあります。

こうした問題は移行後の運用に影響を与える可能性があるため、十分な事前確認が重要になるでしょう。

経験が導く、成功へのヒント

これらの落とし穴は、事前に把握しておくことで回避できる可能性があります。
とはいえ、移行計画の立案や調整には、専門的な知識や経験が求められる場面も少なくありません。

弊社は数多くのクラウド移行を支援してきた実績があり、こうした課題を未然に防ぐノウハウを蓄積しています。
次の章では、移行を成功に導くためのヒントをご紹介します。

クラウド移行を成功に導くヒント

クラウド移行を成功に導くヒント

クラウド移行をスムーズに進めるためには、事前準備と計画が欠かせません。
本章では、数々のクラウド移行実績から得た「移行を成功に導くためのヒント」を5つご紹介します。

ヒント①:移行スケジュールを現実的に設定する

第4回「クラウド移行のスケジュール」でご紹介した通り、移行には複数の工程があります。
さらに、クラウド版 Garoonの定期メンテナンス時間やサイボウズへの移行申請から承認までの工程、業務停止時間も考慮する必要があります。

特に業務停止時間については、作業を休日や夜間に設定するなど、業務影響を最小化する工夫を取り入れるとよいでしょう。
余裕を持ったスケジュールを設定することが、移行を円滑に進めるための第一歩といえます。

ヒント②:早期に移行制約や設定変更を把握する

移行スケジュール調整とあわせて、移行できないデータや仕様変更が伴う設定値を早めに確認しておくことをおすすめします。
これらを事前に把握することで、社内の利用者への周知を計画的に進めやすくなり、混乱を避けやすくなるでしょう。

ベンダーと要件定義や設計を進める中で、こうした情報を確実に確認しておきましょう。

ヒント③:データ量に応じた移行方式を決定する

データ量が多い場合、移行ツールの利用制約や作業時間の増加が発生することがあります。
特に1,000GBを超える場合は、サイボウズによる移行作業が必要になる可能性もあるため、早めにベンダーへ相談し、方式を決定しておくことが重要でしょう。
これにより、事前のデータ整理や作業時間の確保が可能になり、計画の精度向上につながります。

ヒント④:既存の連携設定やメール設定の影響を事前に確認する

他システムとの連携設定やメール設定は、移行後に動作が変わる場合があります。
事前に仕様を確認し、必要な調整を行うことで、トラブルを防ぎやすくなります。

特に他システムとの連携については、パッケージ版とクラウド版で連携方法が異なる場合があるため、ベンダーに利用状況を共有し、対応可否を確認しておくことが望ましいでしょう。

ヒント⑤:信頼できるパートナーに相談する

クラウド移行は、単なるデータ移行ではなく、企業ごとの業務や運用に深く関わるプロジェクトです。
一般的なクラウド移行の手順書だけでは対応できないケースも少なくありません。
そのため、信頼できるパートナーに依頼することが望ましいといえるでしょう。

弊社は、数多くのクラウド移行を支援してきた実績とノウハウを基に、企業ごとの利用状況や運用ルールに合わせた移行手順を柔軟に設計しています。
さらに、計画策定から運用までトータルでサポートし、スムーズな移行を目指せる体制を整えています。

標準的なガイドラインにとどまらず、企業ごとに最適化した対応を提供できるパートナーをお探しの場合は、ぜひ一度ご相談いただければ幸いです。

クロス・ヘッドのGaroonソリューション

まとめ

今回は、クラウド移行を依頼するベンダーを検討する際に気になる「よくある失敗と成功のヒント」について、移行事例をもとにご紹介しました。
クラウド移行は企業の業務全体に影響するため、事前準備や信頼できるパートナー選びが大きな鍵になるといえます。

次回は、クラウド移行を進める際に押さえておきたい「移行プロジェクトの進め方と社内調整のコツ」を取り上げる予定です。ぜひご覧ください。

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クロス・ヘッドはサイボウズ社のコンサルティング&プロダクトパートナーです。
クロス・ヘッドは、サイボウズ社認定のオフィシャルパートナーとして認定されており、2005年以来のサイボウズ社製品の取り扱い実績を有しています。また、サイボウズが設定しているパートナー評価制度「Cybozu Partner Network Report」にてインテグレーション部門2つ星を4年連続受賞。富な実績をもとに、様々なお客様ニーズにお応えします。弊社以外で導入されたお客様へのサービス提供も可能です。
Cybozu Official partnerバナー2種,2つ星

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