著者:小島真鈴![]() 文系出身のkintoneエンジニア。
2020年新卒入社以来、業務理解力を武器に、顧客に寄り添ったシステムの提案と構築を行う。 kintoneカイゼンマネジメントエキスパートおよびSC-Garoon資格を保持し、「kintoneのことならなんでもおまかせ!」はもちろん、「Garoonのこともおまかせ!」な頼れる存在。 趣味はバスケ観戦で、最近は麻辣湯に夢中。 |
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第1回:サポート終了の概要と今後の選択肢
第2回:サポート終了後の継続利用に潜むリスクとは?
第3回:知っておきたい!クラウド版の特徴とメリット?
第4回:クラウド移行の費用とスケジュール ←閲覧中の記事
目次
はじめに
「パッケージ版 Garoonのサポート終了 徹底解説」の第3回では、クラウド移行によって期待できるメリットと移行前に確認しておきたいポイントを整理しました。
クラウド移行は、単にGaroonの利用を継続するための手段にとどまりません。クラウド版ならでは機能性を活かした業務効率化や、他のシステムとの連携による拡張性を活かすことで、Garoonをより高度に活用できる可能性があります。
ここまで記事をご覧いただいた方の中には、すでにクラウド移行の検討を開始している方も多いのではないでしょうか。そして次に気になってくるのは、「クラウド移行作業をパートナー企業に依頼した場合にどのくらいの費用や期間がかかるのか」という点ではないでしょうか。
そこで今回は、「パッケージ版 Garoonのサポート終了 徹底解説」の第4回として、クラウド移行にかかる費用とスケジュールについて、モデルケースとあわせてご紹介します。
クラウド移行を検討する際の参考情報として、ぜひご活用ください。
クラウド移行にかかる主な費用項目

クラウド移行の費用は、利用ユーザー数やデータ量、移行の難易度によって大きく変わる傾向があります。ここでは、一般的に発生しやすい費用項目を整理してみましょう。
クラウド版 Garoonのライセンス費用
クラウド版 Garoonは、月額または年額のライセンス費用が発生します。総ユーザー数によって価格が異なるため、事前に試算しておくと安心です。
また、官公庁・公共団体・学校法人向けの「アカデミック/ガバメントライセンス」や、特定非営利活動法人・特定の条件を満たした任意団体向けの「チーム応援ライセンス」といった特別価格の提供体系もあるため、該当する場合は確認しておくとよいでしょう。
クラウド版 価格・購入方法|サイボウズ Garoon(ガルーン)
移行作業費用
パッケージ版 Garoonのデータをクラウド版 Garoonへ移行するための作業費用です。一般的には次のような作業工程が含まれます。
- 要件定義
- 設計
- 中間サーバーの構築(※中間サーバーについてはテックブログ第3回を参照)
- リハーサル移行
- 本番移行
- 運用開始
- 作業に関するドキュメントの作成
中間サーバー貸出費用
中間サーバーを自社で準備することが難しい場合に、中間サーバーの用意をベンダーへ依頼する際にかかる費用です。
中間サーバーの利用期間やディスク容量(中間サーバーは既存データ量の3倍程度のディスク容量が必要)によって料金が異なるケースがあるため、自社で用意できるか事前に確認しておくことが望ましいでしょう。
サイボウズ移行対応費用(データ量が1000GBを超える場合)
移行対象のサーバーに格納されているデータ量が1000GBを超える場合は、サイボウズ社によるメーカー対応が必要となります。
また、1000GB以下でも条件によって、メーカー対応が必要になる場合があるため、見積もりを依頼する際にはデータ量を正しく測定して伝えることで、費用試算の正確性につながると考えられます。
研修費用
クラウド版 Garoonの操作方法や新たな機能を社内に浸透させるための研修費用です。移行後のスムーズな運用開始を目指す場合は、このような研修コストも検討しておくと安心です。
外部システムとの連携設定やカスタマイズ作業費用
パッケージ版で利用していた外部システムとの連携やカスタマイズを、クラウド版でも再現するための設定作業費用です。
仕様や制限によってはパッケージ版と同じ利用環境にできない場合もあるため、必要に応じて追加コストが発生する可能性があります。
連携サービス・プラグインの費用
クラウド版 Garoonの連携サービスやプラグインを導入する場合、それらの製品の初期費用やランニング費用(月額や年額での利用料)がかかることがあります。
導入を検討する際は、事前に各製品の費用を確認し、全体の予算を検討しておくと良いでしょう。
保守費用
移行後の運用を安定させるため、問い合わせやトラブル対応の窓口として、パートナー企業による保守契約を結ぶケースもあります。
サイボウズ製品にはメーカーによる無償のカスタマーサポートもあるため、そちらで十分対応できる場合はベンダーとの保守契約が不要になることもあります。
ただし、外部システムと連携してGaroonを利用している場合は、不測のトラブルで利用が停止するなどのリスクに備え保守契約を検討することをおすすめします。
クラウド移行のスケジュール

クラウド移行は、準備から本番稼働まで複数の工程を経て進めることが一般的です。ここでは、標準的な作業の流れと期間の目安を整理します。
要件定義(約1週間)
クラウド移行作業の実施に向けた要件定義を行います。主な作業内容は以下となります。
- 既存環境の調査や利用状況の確認
- 中間サーバーの確認
- データ移行/運用要件の確認
- スケジュール策定
設計(約1~2週間)
要件定義で決まった内容を基に設計を進めます。主な作業内容は以下となります。
- データ移行設計
- テスト設計
- サイボウズ社へクラウド版 Garoonの移行申請
- リハーサル移行計画書の作成
中間サーバーの構築(約1週間)
移行に必要な中間サーバーの構築を行います。中間サーバーの貸出を依頼する場合は、OSやネットワーク基本設定などの設定作業が追加で必要になるため、期間が延びる可能性があります。
主な作業内容は以下となります。
- OS環境の確認
- Webサーバー設定
- 既存環境と同じバージョンのGaroonをインストール
リハーサル移行(約1~2週間)
本番移行に向けたリハーサル移行を実施します。平日日中帯に実施することが多く、リハーサル移行で想定外の問題が発生した場合、本番移行に向けた調整を行います。
データ量が多い場合はサイボウズ社での移行対応が必要になるため、期間が延びる可能性があります。
主な作業は以下の通りです。
- 既存環境から中間サーバーのGaroon環境にデータを移行
- 中間サーバー:Garoonを最新版にバージョンアップ
- 中間サーバーからクラウド版 Garoonデータ移行
- 移行結果の確認や動作確認
- 移行環境の確認(お客様作業)
- 本番移行計画書の作成
研修(約1~2日)
必要に応じて研修を行います。クラウド移行した場合に利用できなくなる機能や追加される機能について説明します。
- 利用者向け研修
- 管理者向け研修
本番移行(約1~2日)
運用開始に向けて本番移行を実施します。休日日中帯に実施することが多く、データ量が多い場合はサイボウズ社での移行対応が必要になるため、期間が延びる可能性があります。
主な作業は以下の通りです。
- 既存環境から中間サーバーのGaroon環境にデータを移行
- 中間サーバー:最新版のGaroonにバージョンアップ
- 中間サーバーからクラウド版 Garoonデータ移行
- 移行結果の受け入れ確認や動作確認
- Garoonプラグインの設定(※導入する場合)
- 移行環境の確認(お客様作業)
運用開始(1日)
本番移行完了後、お客様にクラウド環境の引き継ぎを行います。
ここで問題がなければ、作業終了となります。
- 環境引き継ぎ
- 稼働初日待機
全体のスケジュール
クラウド移行の全体的なスケジュールは、一般的には約6~8週間程度を目安とするケースが多いと考えられます。
ただし、要件の複雑さやデータ量によっては、期間が前後する可能性があります。
また、ここで紹介した工程は移行作業の流れになりますが、ほかにも予算の確保、パートナーとの契約手続き、社内調整といった作業が必要になることも予想されます。
そのため、早い段階から計画を立て始め、スケジュールに余裕を持たせることが、スムーズで安定した移行につながるといえるでしょう。
Garoonクラウド移行の費用と期間はどれくらい?モデルケースで解説

クラウド移行の費用や期間は利用環境やデータ量によって、さまざまなパターンが考えられます。
「どれくらいの予算を見込めばいいのか」「どのくらいの期間で完了するのか」というのは、移行を検討する企業にとって非常に重要なポイントになるでしょう。
ここでは、実際のプロジェクトでよくある2つのパターンをモデルケースとして紹介し、費用感とスケジュールの目安をイメージいただこうと思います。
なお、ここで紹介する費用や期間は目安であり、事前調査の内容や構築規模、ドキュメント作成の有無、夜間・休日対応、出張対応などによって変動する可能性があります。
詳細な見積もりは、ヒアリングを実施うえで提示されることが一般的ですので、参考として確認してください。
モデルケース①:一般的なGaroon環境の場合
まずは一般的なGaroon環境の場合のクラウド移行モデルケースです。
データ量もそこまで多くなく、中間サーバーもお客様にてご用意いただいているケースになります。
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モデルケース②:データ量が多いGaroon環境の場合
次にご紹介するのはデータ量が多く、比較的利用規模の大きい場合のモデルケースです。
中間サーバーの貸出オプションやシングルサインオン設定なども含んでいます。
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予算やスケジュールを検討する際に意識したいポイント
クラウド移行の費用やスケジュールは、作業範囲やデータ量に応じて変動します。
今回のモデルケースでは、標準的な環境で約170万円・6週間程度、データ量が多く追加設定を含む場合で約280万円・8~10週間程度が目安と考えられます。
モデルケースを踏まえ、クラウド移行を検討する際に特に意識した方が良いポイントは、以下と考えられるでしょう。
- 基本的な移行作業費用に加えて、研修やオプション対応のコストも含めて計画する
- 中間サーバーを自社で用意し、サーバー貸出費用を抑える
- リハーサル移行を複数回実施することで、移行リスクを低減する
クラウド移行は単なるデータの移行ではなく、運用設計・研修・連携設定などを含む総合的なプロジェクトになるケースが多いとされています。
事前に十分なヒアリングを行い、予算やスケジュールを現実的に見積もることが、移行をスムーズに進めるための重要な要素ではないでしょうか。
もしクラウド移行を検討中で「自社の場合はどれくらいの費用や期間がかかるのか知りたい」という方は、サイボウズ社認定のパートナー企業に相談することをおすすめします。
移行に関する豊富な知見や実績を持つパートナー企業であれば、利用状況やデータ量などを詳細にヒアリングし、より具体的なプランを提示してくれることでしょう。
最後に
今回は、クラウド移行を検討する際に気になる「費用とスケジュール」について、モデルケースとあわせてご紹介しました。
実際には、クラウド移行の作業期間に加えて、情報収集などの検討や、作業をお願いするベンダーの選定プロセスも含めると、移行完了までに半年以上かかったケースもあると聞きます。
クラウド移行の検討を始めたら、ベンダー選定の問い合わせは、できるだけ早い段階で始めることをおすすめします。
次回は、クラウド移行に関する「他社の移行事例と失敗・成功体験談」を取り上げる予定です。
実際の事例から、移行を進めるうえで押さえておきたいポイントを見ていきますので、ぜひご覧ください。
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第3回:知っておきたい!クラウド版の特徴とメリット?
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| クロス・ヘッドはサイボウズ社のコンサルティング&プロダクトパートナーです。 クロス・ヘッドは、サイボウズ社認定のオフィシャルパートナーとして認定されており、2005年以来のサイボウズ社製品の取り扱い実績を有しています。また、サイボウズが設定しているパートナー評価制度「Cybozu Partner Network Report」にてインテグレーション部門2つ星を4年連続受賞。富な実績をもとに、様々なお客様ニーズにお応えします。弊社以外で導入されたお客様へのサービス提供も可能です。 ![]() |

















