前回の記事では、kintoneのAI機能のひとつである「レコード一覧分析AI」についてご紹介しました。
レコード一覧分析AIは、蓄積されたデータをもとに傾向や特徴を整理し、業務に活かすためのヒントを得る機能として活用が期待されています。
その一方で、分析をより有効に活かすためには、「どのようにデータを蓄積するか」といったアプリの設計そのものも重要になってくると考えられます。
しかし実際には、アプリを作ろうとした段階で、「設計や初期作成に時間がかかる」「どのような項目を用意すればよいか分からない」といった課題に直面するケースも少なくないのではないでしょうか。
こうした背景の中で注目されているのが、アプリ作成の初期設計を支援する「kintoneアプリ作成AI」です。
アプリ作成AIを活用することで、ゼロから設計する手間を減らし、アプリ作成の初動を効率化できる可能性があります。
本記事では、kintoneアプリ作成AIについて、できること・できないこと、具体的な使い方や活用例を整理します。
アプリ作成の「出発点」を効率よく作る方法を知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
アプリ作成AIとは?まず知っておきたい基本

アプリ作成AIでできること
作りたいアプリの内容を伝えると、アプリ名やフィールド(項目)の構成案を提案してもらうことができます。
具体的には、次のような支援が想定されます。
- 業務内容に応じたアプリ構成の提案
- 必要な項目(フィールド)の洗い出し
- 入力フォームの初期案の作成
AIとのやり取りはチャット形式で進み、提案内容はワンクリックでフォームに反映することも可能です。そのため、kintoneに不慣れなユーザーであっても会話を通じてアプリ作成を進めやすくなると考えられます。
また、選択肢が多い項目などもAIによって自動設定されるため、これまで手作業で行っていた入力作業の一部を効率化できる可能性があります。
こうした特徴から、kintoneアプリ作成AIは、初期段階の構成案を短時間で整理する手段として活用される場面が増えてきているようです。
kintoneアプリ作成AIでできないこと・限界
アプリ作成AIは便利な支援機能ですが、すべての業務要件をそのまま再現できるわけではない点には注意が必要といえます。
AIが提案する内容は一般的な業務パターンをもとにしたフォーム構成であるため、自社特有のルールや例外処理までは十分に反映されないケースも考えられます。
また、機能面にも一定の範囲があります。
アプリ作成AIが対応しているのは、「はじめから作成」を選択してアプリを作成する場合の”フォーム設定”に限られており、既に作成しているアプリの変更に利用することはできません。
さらに、権限設定や通知設定、ワークフローの構築、アプリ間のデータ連携、自動計算といった高度な設定については対象外となるため、これらはユーザー側で個別に調整していく必要があります。
こうした点を踏まえると、アプリ作成AIは完成形のアプリを自動生成するツールというよりも、アプリ設計の初期段階における「たたき台」を作るための支援機能として捉えるのが現実的ではないでしょうか。
手作業でのアプリ作成との違い
従来のkintoneアプリ作成では、業務内容を整理したうえで、必要な項目やフォーム構成を一から設計する必要がありました。この工程は柔軟性が高い一方で、設計に時間がかかる場面も多く見られます。
アプリ作成AIを活用する場合、業務内容をもとに構成案を短時間で生成できるため、特に初期検討やアイデア出しの段階で効率化が期待できます。
ただし、AIが提示する内容はあくまで「構成案」です。実際の運用に合わせた調整や詳細設計については、人が担う必要があるでしょう。
そのため、アプリ作成においては、「AIで初期案を素早く作成し、人が仕上げる」といった役割分担で進めることが有効と考えられます。
アプリ作成AIを使うメリット

アプリ作成の初動が速くなる
アプリ作成AIを活用することで、アプリ作成のスタート段階をスムーズに進めやすくなると考えられます。
従来は、どのような項目が必要かを検討しながら、一つひとつフィールドを設定していく必要があったため、設計の方向性が定まるまでに時間がかかるケースも見られました。
アプリ作成AIでは、作りたい業務内容を伝えることで、項目や構成の案を比較的短時間で得ることが可能になります。
ベースとなる構成をもとに検討を進めていくと、初期設計にかかる負担も軽くなりやすいため、結果として、アプリ作成に取りかかるまでのハードルが下がり、試行のスピードを高めやすくなると考えられます。
非エンジニアでも構成案を作りやすい
アプリ作成AIは、専門的な知識がなくても利用しやすい点も特徴のひとつといえます。
項目名やフォーム構成を一から設計する場合、ある程度の操作理解や設計経験が求められることがあります。
一方で、アプリ作成AIでは業務内容を文章で説明することで構成案の提案を受けることが可能です。
そのため、kintoneに不慣れなユーザーであっても、会話を通じてアプリのイメージを具体化しやすくなると考えられます。
また、提案された内容をもとに調整していくことで、「考えながら作る」よりも、「確認しながら整える」形で進めやすくなる点もメリットといえそうです。
情シス・DX担当の工数削減につながる
現場部門がアプリの初期構成を作成できるようになることで、情シス・DX部門の負担軽減につながる可能性もあるでしょう。
従来は、現場からの要望をもとに、情シス部門が要件整理やアプリ設計を担うケースが多く見られました。その結果、依頼が集中しやすく、対応までに時間がかかるケースもあったかと思います。
アプリ作成AIを活用すると、現場側である程度の構成案を準備したうえで相談できるようになるため、やり取りの効率化が期待できます。
その分、情シス・DX担当は、権限設計や統制、全体最適といった領域に注力しやすくなり、組織全体でのアプリ作成プロセスの効率化につながるのではないでしょうか。
アプリ作成AIはどんな人・企業に向いている?
現場部門で素早く業務アプリを作りたい人
現場部門で日々の業務を改善したいと考えている場合、アプリ作成AIは有効な選択肢のひとつになり得るでしょう。
例えば、「問い合わせ内容を整理したい」「対応履歴をまとめたい」といったニーズがあっても、実際にアプリを作る段階で、設計に悩んで手が止まってしまうケースも見られます。
アプリ作成AIを活用すると、アイデアを形にするまでのハードルが下がり、「まずは作ってみる」という動きにつなげやすくなるのではないでしょうか。
kintone導入後のアプリ内製化を進めたい企業
kintoneを導入したものの、アプリ作成の内製化に対してハードルを感じているケースもあるかもしれません。
アプリ作成AIは、業務内容を言語化することで構成案を得られるため、これまでアプリ作成に関わってこなかったメンバーでも取り組みやすくなると考えられます。
こうした取り組みを積み重ねることで、徐々に社内にノウハウが蓄積され、現場主体でアプリ作成を進める体制づくりにもつながっていくでしょう。
情シス・DX部門の依頼集中を減らしたい企業
情シスやDX部門にアプリ作成の依頼が集中している場合、対応の遅れや負荷の偏りが課題になっていることも少なくないのではないでしょうか。
アプリ作成AIを活用すれば、現場側である程度形になった案を用意したうえで相談する流れが想定しやすくなります。その結果、要件のすり合わせも進めやすくなり、やり取りの負担を抑えられる可能性があります。
こうした変化によって、情シス・DX部門は権限設計や統制、全体最適といった領域への対応にも時間を割きやすくなるでしょう。
kintoneアプリ作成AIの具体的な作り方・手順
Step1. 作りたい業務を1文で整理する
まずは、どのような業務アプリを作りたいのかをシンプルに整理します。例えば、次のように1文で表現できると、AIに意図が伝わりやすくなります。
- 問い合わせ内容を記録・管理するアプリ
- 申請内容を受け付けて整理するアプリ
- 在庫の数量や入出庫を管理するアプリ
この時点では、細かい仕様まで考え込む必要はありません。
「何を実現したいのか」が伝わる状態に整えることがポイントといえます。
Step2. AIに伝える要件をまとめる
次に、アプリ作成AIへ入力する内容を簡単に整理します。例えば、以下のような情報をイメージしておくと、提案内容も具体的になりやすくなります。
- どのような項目が必要になりそうか
- 誰が利用するのか
- どのような流れで使われるのか
すべてを正確に決めておく必要はなく、AIとのやり取りの中で整理していく前提でも進めやすいと考えられます。
Step3. AIを利用してアプリを作る
kintoneアプリストア画面で「はじめから作成」を選択し、「アプリの設定」画面から「AIでフォームを作成」をクリックすると、アプリ作成AIを起動できます。
この操作にはアプリの作成権限が必要です。権限が付与されていない場合は、アプリストア画面を開くことができません。

起動後は、入力欄に作りたいアプリの内容を記述し、AIとの対話を進めていきます。

AIは入力内容をもとに、フィールドや構成の案を提示します。まずはその内容を確認しながら、意図した方向性になっているかを見ていくとよいでしょう。
内容に問題がなければ、「この内容をフォームに反映」をクリックすることで、アプリに反映できます。


もし気になる点がある場合は、反映後も追加で指示を出しながら調整を続けることが可能です。
一度で完成を目指すというよりも、やり取りを重ねながら精度を高めていく進め方が現実的といえそうです。

(やり取りを重ね、新たに「問い合わせ日時」に初期値をセット、「対応担当部署」項目を設置)
なお、アプリ作成AIを利用する際は、いくつかの制限にも留意しておくとよいでしょう。
- アプリ作成AIの画面を閉じると、会話の内容はリセットされる
- 指示や質問の入力は2,000文字まで
- やり取りできる回数は1回のセッションあたり20回まで
Step4. kintone上で手動調整する
AIの提案内容はそのまま利用することもできますが、実際の業務に合わせるためには、ユーザー自身での調整も重要になってきます。
例えば、次のような点を見直すケースが考えられます。
- 項目の追加や削除
- 入力しやすい並び順への調整
- 必要に応じた設定の追加

(手動で項目の配置やサイズを変更)
また、アプリ作成AIでは対応できないフィールドや設定も存在します。
例えば、「ルックアップ」や「関連レコード一覧」といった、他アプリとの連携が必要な項目は自動で配置されないため、手動で設定する必要があります。
こうした部分を補いながら、実務に合った形へ整えていくことがポイントといえるでしょう。
Step5. テスト運用して改善する
アプリの形が整ってきた段階で、「アプリを公開」から利用を開始できます。
ただし、いきなり本番運用に移行するのではなく、まずはテスト運用を行う形が望ましいと考えられます。
実際に使ってみることで、
「この項目は不要かもしれない」
「入力方法をもう少しシンプルにしたい」
といった改善点が見えてくるケースもあります。
なお、アプリ作成AIは「はじめから作成」の段階で利用する機能であり、作成後のアプリ設定を変更するための用途には対応していません。そのため、公開後の調整はユーザー側で進めていく必要があります。
こうした点も踏まえながら、小さく試して改善を重ねていく進め方が実務にフィットしやすいのではないでしょうか。
すぐ試せる|kintoneアプリ作成AIの活用例(プロンプト付き)

問い合わせ管理アプリ
問い合わせ対応を記録・管理したい場合、まずはシンプルな構成から始めるとイメージしやすいでしょう。
例えば、次のような内容でプロンプトを入力すると、基本的な項目構成の案が提示されるケースがあります。
自社プロダクトに関する問い合わせ内容を管理するアプリを作りたいです。
問い合わせ日時、問い合わせ種別、内容、対応担当、対応状況を管理できるようにしてください。
対応状況は「未対応・対応中・完了」で分かるようにしたいです。
ステータスをあらかじめ指定しておくと、運用イメージが伝わりやすくなります。
まずは記録と状況管理に絞った構成から始めることで、シンプルに使い始めやすくなるのではないでしょうか。
営業案件管理アプリ
営業活動を可視化したい場合は、案件ごとの進捗や確度が分かる構成を意識すると整理しやすくなります。
例えば、次のようなプロンプトが考えられます。
営業案件を管理するアプリを作りたいです。
顧客名、担当者、案件内容、案件金額、確度、進捗ステータスを管理したいです。
営業担当が日々更新することを想定して、入力しやすい構成にしてください。
「誰がどのように使うか」を補足することで、より実務に沿った提案が得られる傾向があります。
まずは基本的な項目を押さえたうえで、必要に応じて調整していく進め方が取りやすいといえるでしょう。
申請受付アプリ
申請業務を整備する場合は、いきなり複雑な承認フローを組み込むのではなく、受付・管理の仕組みから整える形が現実的です。
例えば、次のようなプロンプトが考えられます。
社内の申請受付を管理するアプリを作りたいです。
申請者、申請日、申請種別、申請内容、承認状況、添付ファイルを管理したいです。
まずは申請内容を一覧で確認できるようにしたいです。
まずは「申請を受け付けて一覧で確認できる状態」を目指すことで、運用のイメージをつかみやすくなります。
複雑な承認フローが必要な場合は、必要に応じてプロセス管理機能との使い分けを検討してみるのが良いでしょう。
在庫・備品管理
在庫や備品を管理する場合は、「何がどれだけあるか」と「動き(入出庫)」の両方を意識すると整理しやすくなります。例えば、次のようなプロンプトが活用できます。
在庫管理アプリを作りたいです。
商品名、在庫数、入庫日、出庫日、担当者を管理できるようにしてください。
在庫の増減が分かるようにしたいです。
まずは在庫数を把握できる状態を作り、その後に履歴や詳細管理を追加していく流れが考えられます。
シンプルな構成から段階的に拡張していくほうが、運用にも馴染みやすくなるでしょう。
プロンプト活用のポイント
プロンプトは一度で完成させるというよりも、調整しながら精度を高めていく前提で考えることが重要です。
- 「何を管理したいか」をシンプルに伝える
- 「誰が使うか」「どのように使うか」を補足する
- 気になる点があれば指示を追加して調整する
こうした工夫によって、より実務に近い構成に近づけやすくなると考えられます。
AIの提案は一度で最適な形になるとは限らないため、プロンプトを調整しながら「アプリを育てていく」感覚で進めることがポイントといえそうです。
非エンジニアでも失敗しない進め方

最初から完璧なアプリを作ろうとしない
アプリ作成に取り組む際、最初から完成度の高いものを目指そうとすると、設計の段階で手が止まってしまうことも少なくないのではないでしょうか。
まずは「最低限使える形」で一度作成し、実際に使いながら調整していく流れのほうが現実的といえそうです。
最初の段階で細部まで作り込むのではなく、段階的に改善していく方針を持つことがポイントになるでしょう。
まずは“台帳型”のシンプルな業務から始める
初めてアプリ作成AIを活用する場合は、できるだけ構成がシンプルな業務から取り組むと進めやすくなります。
例えば、問い合わせ管理や備品管理のように、「情報を記録して一覧で確認する」ことが中心となる台帳型の業務が考えられます。
こうした業務は必要な項目が比較的明確で、処理の流れも複雑になりにくいため、AIの提案内容も理解しやすくなる傾向があります。
初回生成がうまくいかないときの見直しポイント
アプリ作成AIの提案がイメージと合わない場合でも、すぐに作り直すのではなく、入力内容を見直すことで改善につながるケースがあります。
特に意識しておきたいポイントとしては、次のようなものが挙げられます。
要件が抽象的になりすぎていないか
例えば、「管理したい」といった表現だけではなく、どのような情報を扱うのかを補足することで、提案内容がより実務に近い形に寄っていくこともあります。
管理したい情報が抜けていないか
必要な情報が整理できていないまま進めてしまうと、後から項目を追加する場面が出てくる可能性もあります。
そのため、最初の段階である程度の網羅性を意識しておくことも大切といえるでしょう。
誰がどのように使うかを具体的にイメージできているか
利用者や利用シーンが明確になっていると、入力項目の構成や使いやすさの観点でも、より現実に即した提案になりやすいと考えられます。
kintoneアプリ作成AIと相性がよい業務・向かない業務
AI作成と相性がよい業務
kintoneアプリ作成AIは、すべての業務に適しているわけではなく、比較的相性の良い領域があります。
例えば、次のような業務は、AIによるアプリ作成と相性が良いと考えられます。
- 問い合わせ管理
- 営業案件管理
- 在庫管理
- 申請受付の一次整理
これらの業務に共通しているのは、「扱う項目がある程度決まっている」「業務の流れが比較的シンプル」といった点です。
まずは情報を記録し、一覧で確認できる状態を作ることが中心となるため、AIによる構成案でもイメージしやすい形になりやすいといえるでしょう。
AI作成だけでは難しい業務
一方で、アプリ作成AIだけで設計を進めるには、難易度が高くなりやすい業務も存在します。例えば、次のようなケースが挙げられます。
- 例外処理が多く発生する業務
- 複雑な計算や条件分岐が必要な業務
- 複数アプリとの連携が前提となる業務
こうした業務では、単純な項目設計だけで対応することが難しく、細かな条件設定やシステム全体を意識した設計が求められる場面も出てきます。
また、アプリ作成AIが対応しているのはアプリ名とフォーム設定までであり、権限設定やデータ連携、ワークフロー設計といった領域については、別途検討が必要となります。
そのため、このような業務では、AIによる提案を参考にしつつも、ユーザー自身で詳細設計や調整を行う前提で進めていく姿勢が重要ではないでしょうか。
AIで作るか、人手で設計するかの判断基準
アプリ作成AIをどの範囲で活用するかは、業務の性質や目的によって判断することが求められます。例えば、次のように使い分ける考え方があります。
- 初期のたたき台を作る段階であればAIが向いている
- 全社運用や本格導入を前提とする場合は詳細設計が必要
- 業務の複雑さに応じて、AIと人手を組み合わせる
まずはAIで構成案を作ることで、検討スピードを高めることが期待できます。
そのうえで、必要に応じて人手で設計を深めていくことで、実務にフィットしたアプリに仕上げやすくなるでしょう。
このように、AIと人の役割を明確に分けながら活用していくことが、現実的な運用に近づけるポイントになるのではないでしょうか。
結局どれが最適?kintoneアプリ作成の選択肢を比較

比較1. AIで作る vs 手作業で作る
アプリ作成にあたっては、AIを活用する方法と、従来どおり手作業で設計する方法の両方が考えられます。
AIを活用する場合は、構成案の作成から着手できるため、初動をスピーディに進めやすい点が特徴です。
一方で、細かな要件や運用ルールまで反映したい場合は、手作業で設計したほうが意図を反映しやすい場面もあるでしょう。
そのため、初期の構成案づくりはAI、仕上げや詳細設計は人手、といったように使い分ける進め方が現実的といえそうです。
比較2. AIで作る vs テンプレートで作る
kintoneにはアプリテンプレートも用意されており、すぐに使い始めたい場合には有効な選択肢となります。
テンプレートは定型的な業務に適しており、基本構成があらかじめ整っているため、導入までの手間を抑えやすいと考えられます。
一方で、自社の業務に合わせて柔軟に設計したい場合や、独自の項目構成が必要な場合には、AIを活用したほうが調整しやすいケースもあるでしょう。
用途やカスタマイズの必要性に応じて選択することがポイントになりそうです。
比較3. 自社内製 vs ベンダー支援
アプリ作成を進めるにあたり、自社で内製化するか、ベンダーの支援を活用するかという点も重要な判断材料になります。
小規模な業務改善や試行的な取り組みであれば、自社で内製化する形でも進めやすいと考えられます。
特に、アプリ作成AIを活用すれば、初期案を用意するまでのハードルが下がるため、現場主導での取り組みも現実的になってきています。
一方で、業務が複雑になるほど、設計や運用面で考慮すべき要素も増えていきます。
- 複雑な承認フローや権限設計が必要な場合
- 複数アプリ間の連携やデータ整合性を考慮する必要がある場合
- 全社での利用を前提とした標準化が求められる場合
こうしたケースでは、設計の精度や全体最適の観点がより重要になってくるため、経験のあるベンダーの支援を活用することで、安定した運用につながる可能性があります。
また、初期設計だけでなく、運用ルールの整理や標準化の支援といった観点でも、外部の知見が役立つ場面は少なくないと考えられます。
必ずしも「内製か支援か」のどちらかに決める必要はなく、初期は内製で小さく始め、必要に応じてベンダー支援を取り入れるといった段階的な進め方も現実的といえるでしょう。
目的別のおすすめ
目的や状況によって、適した進め方は異なります。
- まずは試してみたい場合→ AIを活用して小さく始める進め方が取りやすいでしょう
- 現場主導で改善を進めたい場合→ 内製をベースに進めつつ、AIで初期設計を補う形が合っていると考えられます
- 複雑な業務や全社展開を前提とする場合→ ベンダー支援も視野に入れた設計が求められるケースもあるでしょう
このように、目的や業務の特性に応じて選択肢を組み合わせていくことが、無理のない進め方につながるのではないでしょうか。
アプリ作成AIのセキュリティとデータ取り扱い
本番利用前に確認したいポイント
学習利用の有無
アプリ作成AIに入力した内容について、「AIの学習に使われるのではないか」と不安に感じるケースもあるかもしれません。
アプリ作成AIに入力したデータは、AIモデルのトレーニングには使用されません。
そのため、入力内容が他のユーザーの学習データとして利用されることはなく、情報が外部に再利用されることはありません。
データ保存先
アプリ作成AIで扱われるデータは、kintone本体と同様のクラウドデータポリシーに基づいて管理されます。
つまり、通常のkintone利用と同じセキュリティ基準で扱われるため、既存のkintone運用と同じ前提で利用できます。
管理者権限
アプリ作成AIの利用には、アプリの作成権限が必要です。
アプリの作成権限の付与は管理者が行う必要があるため、誰がAI機能を利用できるかは事前にコントロールできます。
このように、権限設定の範囲や運用ルールについてもあわせて確認しておくと安心です。
監査・統制の観点
AIを活用したアプリ作成では、利便性の高さとあわせて統制の観点も意識しておく必要があります。例えば、
- 誰がアプリを作成・変更できるのか
- どのようなルールでアプリを公開するのか
- 作成内容をどのようにレビューするのか
といった点について、あらかじめ方針を決めておくことで、運用上のリスクを抑えやすくなります。
AIによる提案をそのまま活用するのではなく、組織としてのチェック体制を整えることが、本番利用においては重要になってくるのではないでしょうか。
AIで作ったkintoneアプリを実運用に乗せるコツ
AI生成後に必ず見直したい項目
AIで生成されたアプリは、そのままでも一定の形にはなりますが、実際の業務にフィットさせるためにはいくつかの観点で見直しを行うことが重要とされています。
特に確認しておきたいポイントとしては、次のようなものが挙げられます。
- 項目の過不足(必要な情報が揃っているか)
- 入力ルール(誰でも迷わず入力できるか)
- 権限設定(閲覧・編集範囲が適切か)
- 通知設定(必要なタイミングで共有されるか)
- 一覧の構成(一覧で状況を把握できるか)
AIは一般的な構成をもとに提案を行うため、実際の業務に合わせて細部を調整していく工程が求められるケースもあるでしょう。
この段階での見直しを丁寧に行っておくことで、後工程での手戻りを抑えやすくなります。
現場で定着しやすいアプリにする工夫
アプリを作成できたとしても、現場で使われ続けなければ十分な効果は得られない可能性があります。
定着を意識するうえでは、次のような観点を押さえておくと進めやすくなると考えられます。
- 入力の手間を増やしすぎない
- 項目名を分かりやすく統一する
- 利用シーンを具体的にイメージして設計する
- 最低限の機能からスタートする
特に、項目が多すぎたり、入力ルールが複雑になりすぎたりすると、現場での負担につながる可能性があります。
そのため「誰が、どのタイミングで、どのように使うのか」を意識しながら設計することが、定着のしやすさに影響してくるといえそうです。
また、最初からすべてを盛り込むのではなく、必要最低限の構成でスタートすることで、利用ハードルを下げやすくなるでしょう。
小さく作って改善する進め方
AIでアプリを作成する場合、最初の段階で完成形を目指すよりも、試行と改善を繰り返す進め方が現実的といえます。
例えば、次のようなステップで進める方法が考えられます。
- シンプルな構成でアプリを作成する
- 限られたメンバーで試しに運用してみる
- 実際の利用状況をもとに改善点を洗い出す
- 項目や設定を調整していく
このように、小さく試してフィードバックを得ながら調整していくことで、実務に合った形へ近づけやすくなると考えられます。
また、利用者の意見を早い段階で取り入れることで、「使いづらいまま固定されてしまう」といったリスクも抑えやすくなるでしょう。
AIで作成したアプリはあくまで出発点と捉え、運用しながら育てていく意識を持つことが、長期的な活用につながるのではないでしょうか。
まとめ:アプリ作成AIは“初期構成”と“設計の効率化”を助けるツール
アプリ作成AIを活用することで、アプリ作成の初期段階を効率よく進めやすくなると考えられます。
一方で、最終的な設計や権限設定、運用ルールについては、人による確認や調整が欠かせない場面も多いといえそうです。
また、業務によってはAIとの相性があるため、どのような業務に適用するかを見極めることも重要になるでしょう。
さらに、作成方法の選択やセキュリティ、運用の進め方まで整理しておくことで、自社に合った活用方法を検討しやすくなるのではないでしょうか。
アプリ作成AIでは難しい業務は、プロに相談という選択肢も
アプリ作成AIは、初期のアプリ設計や構成の検討を効率化する手段として活用しやすい一方で、すべての業務にそのまま適用できるわけではありません。
例えば、既存の業務システムやExcelなどからkintoneへ移行するケースでは、単にアプリを作るだけでなく、業務の整理やデータの移行設計、運用ルールの再設計が求められることも多くなります。
このように全体設計まで含めた最適化が求められる場面では、専門的な検討が必要になるケースも少なくありません。
クロス・ヘッドのkintoneソリューションでは、
- 複雑な業務要件の整理
- アプリ連携や全体最適の設計
- 標準機能の機能拡張やカスタマイズ
- 既存システムからの移行設計・データ整理
といった領域についても、実務に即したご支援を行っています。
「どこまでを自社で進めるべきか」「どの部分で専門的な支援を活用すべきか」といった切り分けを整理する段階からでも、ご相談いただけます。
自社に合った進め方を検討する一つの選択肢として、こうした支援の活用も視野に入れてみてもよいのではないでしょうか。
もしご興味がありましたら、お気軽にご相談ください。
クロス・ヘッドはサイボウズ社のコンサルティング&プロダクトパートナーです。
クロス・ヘッドは、サイボウズ社認定のオフィシャルパートナーとして認定されており、2005年以来のサイボウズ社製品の取り扱い実績を有しています。
また、サイボウズが設定しているパートナー評価制度「Cybozu Partner Network Report」にてインテグレーション部門2つ星を5年連続受賞。
豊富な実績をもとに、様々なお客様ニーズにお応えします。弊社以外で導入されたお客様へのサービス提供も可能です。
※クロス・ヘッドはサイボウズ社のオフィシャルパートナーです。

