DXツールの選びかた

DX(Digital Transformation)はデジタル技術(Digital)を活用した変革(Transformation)ですので、何らかのデジタル技術、つまりITツールの活用を前提としています。

しかしながら本コラムの執筆時点ではいかなるパターンのDXにも適用可能な決定版「DXツール」はなく、どのパターンのDXでも複数の既存ITツールを組み合わせてDX実現を目指すのが一般的ではないでしょうか。

今回はこのITツールの選びかたについて、ポイントをみていきましょう。

ツールの種類

DXそのものには決まったやり方や、守らなければならないルールは存在しません。
すべてはDXを進める企業や組織にゆだねられています。

そのため、DXの実現に重要な役割を担うITツールにも決まったITツールや、ITツール選定の制約もありません。

今や世の中にあふれるITツールの中から、実現したいDXにもっとも適したものを選び出す必要があります。

見方によってさまざまですが、ITツールをかなり大雑把に大別すると次のようにとらえることもできるでしょう。

もちろんこれらのほかに、ITツールの所有や保有を前提に、イチからカスタマイズ開発する形もあります。

しかしながら一部を除きカスタマイズ開発は非常に難易度が高く、初期開発費用やメンテナンス面でもハードルが高いため、ここでは利用を前提としたITツールをとりあげることにします。

「オンプレミス」は従来のように、自社で機器を設置しその機器を使ってITツールを運用し利用するものです。

「クラウドサービス」はインターネット経由で提供される機能を利用期間に応じて料金を支払いながら利用(サブスクリプション)するものです。

「パッケージ」は分かりやすく言うと、市販の箱売りされているソフトウェアのことです。今では箱売りは少なくなりダウンロード提供されるようになってきています。

「簡易開発(ローコード・ノーコード)」は、先ほど書いたカスタマイズ開発とパッケージの中間のようなもので、簡易にソフトウェアの開発を可能にするITツールやその利用基盤を指します。「ローコード」は少しだけプログラミング的な要素が入り、「ノーコード」ではプログラミング要素がまったく入りません。

オンプレミスかクラウドサービスか

情報の秘匿性が極めて高い、またはミリ秒単位のレスポンスを求められる業務を除き、クラウドサービスをおすすめします

そもそもDXをおこなう目的として、多くの場合は事業環境や市場環境の変化への対応が挙げられるのではないでしょうか。

つまりこれは、変化に応じて自社の業務プロセスやITツールも変化し続ける必要がある、ということを意味しているともいえるでしょう。

オンプレミスでは機器やソフトウェアを資産として保有するため流動性に欠き、変化への対応に多くの工数が必要になりがちで、使うことを取りやめる決断がとりわけ難しくなる可能性があります。

それに対しクラウドサービスは利用期間に応じた課金ですので、極端に言えば明日にでも利用を取りやめることができます。

参考まで、「カスタマイズ開発(スクラッチ開発)」と「パッケージソフト」については以下のコラムの中でも説明していますのでご紹介します。

また、「クラウドサービス」の選びかたについては以下のコラムでも説明しています。

クラウドサービスを選ぶ場合は複数のクラウドサービスを連携させることで、あるクラウドサービスには不足する機能を、別のクラウドサービスで補うことができる可能性もあります。

連携については以下のコラムでもご紹介しています。

パッケージか簡易開発(ローコード・ノーコード)か

次に提供形態ですが、これはその企業や組織の方針によって選択が変わります。

パッケージを選択する場合は、パッケージが持つ機能に業務プロセスを合わせる覚悟が必要になります。多くの日本企業ではこれまで業務に合わせてソフトウェアをカスタマイズ開発し、オンプレミスで運用することで細かなニーズに対応してきました。

そのためパッケージを導入した場合にも、パッケージが持つ機能を現場業務に近づけようとカスタマイズ開発を加えてしまいがちです。

こうしてパッケージ利用のメリットである、ベストプラクティスの活用や法令等の変化への対応、先端技術の早期適用などが活かせなくなるケースが後を絶ちません。

そうした事態にならないよう、パッケージ選定では自社業務とパッケージとの相性を慎重に見極める必要があるでしょう。

一方、最近耳にする機会も増えた「簡易開発(ローコード・ノーコード)」も、今やさまざまなサービスが提供されています。

「簡易開発(ローコード・ノーコード)」ツールを選定する場合も、機能性や使い勝手はもちろんのこと、次のような点も意識することをおすすめします。

● メーカーによるサポートが得られること
● 取り扱い業者(販売・導入パートナー)が多いこと
● ネット上に多くの情報があること

これらに当てはまらない場合、自社業務との相性や使い勝手について自ら検証し、不明点を調査するなどの対応が必要となります。調査や検証、資料作成などに多大な工数を要し、DXで目指すべき業務効率化と逆行してしまう可能性もあるかもしれません。

また定期的な機能向上(バージョンアップ)がされているか、安定継続的にサービス提供されているか、なども大切な選定ポイントといえるでしょう。

おすすめのツール

当社ではクラウドサービスとして提供される簡易開発(ローコード・ノーコード)ツールをおすすめしています。

理由は単純で、導入のハードルが低いためです。

先に書いたように、DXには継続的な変化が求められます。
それだけでなく、実現までのスピードも求められるでしょう。

3年かけてDXを進め、実現した頃にはもう市場が大きく変わっていた、となると目も当てられません。

使いたいときに素早く実装し、そのあとも自らの手で簡単に改修し続けられるのが、クラウドサービスとして提供される簡易開発(ローコード・ノーコード)ツールです。

そんな中から当社ではサイボウズ社が提供するkintone(キントーン)をおすすめしています。皆さんの中にもTV CMなどで見かけた方もいるのではないでしょうか。

kintoneとは何か。kintoneでできること。活用のコツなどは以下のコラムで説明しています。ぜひご覧ください。

まとめ

今回はDXを実現するために用いるITツールについてみてきました。

時代の変化がスピードを増す中、技術進歩や世界情勢の変化、経済状況の変化がめまぐるしく進んでいます。しかもその動きはこれまでになく予測が難しく、企業や組織には常に変化が求められているといえるでしょう。

そんな時代背景からDXという概念が生まれ、それを後押しするさまざまなITツールが登場しています。

競争が激しさを増す市場で事業競争力を強化する、または末永く市場で生き残るためにも、最適なITツールの選択が重要ではないでしょうか。

繰り返しになりますが、DXに決まったやり方やルールが無いのと同様に、ITツールの選択にも正解はありません。

本コラムが皆さんのITツール選定と、その先のDX実現に少しでもお役に立てればと思います。

関連記事一覧

  1. RPAとサービス連携 DXにはどちらを選ぶべきか
  2. なぜスモールスタートでのDXなのか?
  3. DX成功のための予備知識③ 攻めと守りのサービス連携  ~バイモーダルIT~
  4. DXが必要なワケ

クロス・ヘッド ロゴ

PAGE TOP